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MIMIの冒険

ドイツ留学後、その後の私の人生を赤裸々にお伝えしていきたいと思います!私の経験から得た教訓、知識を伝えていきます!一人の人間の人生を見届けていただけると幸いです。

カミュ作『ペスト』の感想〜二つのペスト〜

 

 

こんにちは! Mimiです!

 

 今日は、先日読み終えたカミュの『ペスト』というお話についての感想をお伝えしようと思います。多少のネタバレを含んでいますので、ご理解の上見てください!

 

 アルベール・カミュの作品はこの他に『異邦人』や『変身』を読んだことがあり、私自身の感想ですが、とても哲学的な部分があると感じさせられることが多いです。人が目を背けたくなるような哲学的問題に目を向け、そこに疑問を投げかける作品が多いように思えます。今回の作品もある種そのようなものであると私はこの本を読んで感じました。

 

 この『ペスト』という作品の主人公はリウーという医師です。その街では、有名な医師でネズミを媒介として蔓延したペストを食い止めることに大きく携わる人物の一人です。登場人物は多くいますが、その中でもタルーと呼ばれるこの物語の舞台となるオランに引っ越してきて保険隊を組織する人物がこの物語の要であると考えています。物語の序盤では、街にペストが蔓延してきて、その街の変貌ぶりや人々の生活の変化などが書かれており、その後リウーとそのほかの仲間たちがその患者を治療し、隔離するため、保険隊を組織するという流れが書かれています。

 

 私が、この物語の核が見えてきたと感じてきた部分が後半のタルーが自分の父親についてカミュに語った場面からです。彼と彼の父親は元々仲が良かったのですが、父親が検事を務める裁判で被告人に死刑を求める父親を見て、父親に嫌悪感を抱くようになります。その後、少しして彼は父親の元を去ります。その後彼は死刑囚の死刑執行見届ける役目を負う機会があり、その時に、子供の頃に裁判の場で感じた嫌悪感を忘れていたことを思い知らされます。その嫌悪感というのは、つまり人が人を殺すという行為です。彼の父は間接的であってもその人の死を望みその人を殺すことに加担したのであり、それが彼と彼の父との間に大きな溝を作りました。父親は、幾らかの死を防ぐために一つの死を犠牲にすることは仕方のないことだと言っていますが、彼はその論理が理解できませんでした。彼は、この人が人を殺してしまうことを「ペスト」と呼んでいると私は解釈しました。彼は死刑囚が死刑を執行された後に、彼がペストに侵されていることに気づいたといっています。

 

つまり、人は自分の知らないところで間接的であったとしても人の死を望んだり場合によっては殺してしまうこともあり、その人達を「ペストにかかっている」と表現したのです。その「ペスト」は人を殺してしまいますし、それは全く関係のない人間に移す(影響させる)こともあります。

 

タルーは、その後から何人たりとも殺すこと、傷つけることがないように生きてきました。タルーはこの物語で最後疫病であるペストにかかり、死んでしまいますがその時にリウーが意味深なことを呟きます。…最後彼はペストによって彼の心の平和を叶えることができたが、それは今の彼には意味をなさないことであった。…とありますが、これはつまり、先ほどもお伝えした、人を殺してしまう心の「ペスト」から解放されはしたが、結局この

 


世に留まることのできない彼にとってそのことは意味をなさないということなのではないでしょうか?

 

 

移す意図がないのに加害者になってしまう疫病ペスト…しかしそれは心の「ペスト」も同じことでありこの「ペスト」は自分が「ペスト」になっていることさえも気づけない…

疫病ペストが街から消えた最後の場面おいてもペストは消えることはないと伝えているのは心の「ペスト」は永遠に消えることはなくて、またこのような疫病がこの心の「ペスト」を思い出させるということなのではないかと考えています。

 

 

それはまた更新します!Auf wiedersehen!!